macOS 10.14 Mojave でQuickTimeが完全に葬り去られ、再生できないムービーファイルを大量発生させました。そのうち、エラー1718449215 について対処します。
Mojave ムービー不手際
世間様の数年遅れを生きているデジタル部活です。日本が悪政で25年間停滞している悲惨さを思えば数年遅れなどなきに等しいです。それはともかく、つい最近OSを10.14に上げて、不便になったなあと思いながらも我慢して使っていたのですが、このOSでムービーファイル大虐殺が起きていたことにしばらく気づいていませんでした。
ムービーファイルがQuickLookできない
QuickLookができないので気づきました。いつまで待っても何も現れません。
くるくるが終わらないものの他に、まったくQuickLookする気がないタイプもあります。
古いファイルに多いです。この手のやつは、多分QuickTime 廃止に伴って激減した対応コーデックの問題であろうと思われます。このパターンのものは、今回の話題には含みません。
QuickTime 7 では問題なし
QuickLookがくるくるして終わらないファイルについてです。ファイルが壊れたかと開いてみると、普通に再生できて問題ありません。
QuickTime 7 でファイルを開いてみると問題なく再生できます。優秀アプリですから当たり前かもしれません。
他の全てのプレーヤーで問題なし
他のムービープレーヤーでも問題ありません。VLC、IINA、再生できます。ですのでそもそも問題などないとも言えます。
でも問題あります。QuickLookできないのが痛いし、Macのデフォルト機能を利用したムービープレビューが一切できません。つまり、メディア管理ソフトや、組み込みメディアプレーヤーを有しているFileMakerのようなアプリで動画が再生・プレビューできません。
ではもう一つのQuickTimeプレーヤーで試してみましょう。
QuickTime Player X でエラー
もう一つのプレーヤーとは QuickTime Player X ですね。こいつで開こうとするとエラーになります。
同じようなファイルでエラー番号が表示されることがあります。
開くこともできず先にも進めずどうにもなりません。エラー番号が示されます。1718449215 です。
コーデックの問題かと思いましたが再生できるファイルとエラーのファイルで違いはありません。
エラー番号が明らかですからAppleに情報あるはずですね。あるわけないけど。訊いてみましょうか。
もしかしたら10.13でも発生した現象かもしれませんが使ったことがないので知りません。10.12 Sierra までは再生できていたムービーファイルが 10.14 では開かないことを目の当たりにします。
こりゃMojaveがだめなんだなと、OSバージョンを一旦戻しましたが、後ろ向きすぎるので気を取り直し、再生できる形に変換する決意を固めます。
さてエラー1718449215については結論を後回しにして、その前にくどくど行きます。結論を先に知りたい場合はすっ飛ばしてください。
QuickTime
Appleは10.9 Mavericks あたりから段階的にQuickTimeを廃止、かつてMacに備わっていた優位性を削り続けてきました。
優位性がなくなるだけならまだしも、互換性を完全放棄。かつて自分たちが推奨してきたものを、使っていた客もろとも一気に捨て去りました。
QuickTimeを葬る儀式として、まずは QuickTime Player X というアプリを用意してきました。一部のコーデックに完全未対応でデザインも使い勝手も劣悪ですが、将来未対応になるムービーファイルを変換するという大きな役割がありました。
QuickTime消滅の過渡期に、今後サポートしなくなるムービーファイルを変換するわけですが、実際の話、変換されてもどうにもならない場合だってあるわけです。それはムービー編集ソフトやその他ソフトウェアに読み込まれたり配置されたり場合によっちゃパッケージ内部に収められてるパターンです。変換された後は拡張子も変わるし日付も変わるし、完全に別のファイルになります。元のファイルをリンクしてるんだから、変換して別名保存しても意味ありません。
結局全てを遡り全ての関連ファイルを修正する必要があり、そんなことをやっている時間が、ただでさえ短い寿命の中で確保できるわけがありません。
ということで、QuickTime Player X によるムービーファイルの変換は随分以前からAppleが「やっとけよ」と忠告していたのに、実務上無視していました。無視して、QuickTime 7 Pro をずっと使っていたんです。
QuickTime 7 Pro というアプリは、Appleが素晴らしい会社であった頃を象徴する優れたソフトウェアで、軽量なのにプレーヤーであると同時に簡易編集からタイムコード確認から内情の解析から何でもできるというバケモノです。これを越えるどころか、匹敵するどころか、似たソフトどころか、これを目指そうとしているソフトすら、未だにひとつもありませんしカスリもしません。
それはともかく、QuickTime 7 Pro で事足りるからと、変換作業をサボっていたこちらのせいなのでございます。何もかも。多分。それはわかっています。
QuickTime 7 のサポート打ち切り
10.14 Mojaveでは、この優秀アプリ QuickTime 7 Pro のサポートが完璧に終了しました。「サポートつっても、もともとサポートしないやん。今更何なん?」と一瞬思いましたが、サポート打ち切りの仕打ちは甘いもんじゃありませんでした。
QuickTime 7 Pro のこの豊富な書き出しオプションが
ここまで削り取られました。
今までQuickTime7でやっていた書き出しの作業が出来なくされました(主にパーツの整理などに使ってたので、ProResがないと話にならない)
なんてことを。なんてひどいことを。
という愚痴はすでに前回の記事(Apertureを解体する)でも書いたのですがまた書きました。
エラー 1718449215
本題よりも文句が言いたいが為だけの本ポストですが、そろそろ本題に戻ります。エラー 1718449215 とは何なのか、それはオーディオフォーマットエラーです。
AudioFormatUnsupportedDataFormatError
これらしいんですね。サポートされないオーディオフォーマットのエラーか。ビデオのコーデックばかりに注目していても何も得られなかったはずです。
エラーの原因については諸説あります。有力なのが HandBrake です。もうひとつ可能性があるのは Perian です。Perian などとっくの昔に開発が終了していますが、QuickTime 7 において有効ですから必須でした。そのほかにも可能性はいろいろありそうですが、そういう枝葉の原因はどうでもよくて、真の原因はただひとつ、QuickTimeの廃止とMojaveです。
AC3
答えを先に言っときます。AC3 フォーマットのオーディオです。これが含まれていると、QuickLook無限くるくると、QuickTimeXでのエラー1718449215が発生する場合があることがそこそこ明白になりました。
かつてはAppleがAC3コンポーネントを配布していたこともあったようだし、Perian でも対応できていたようにも思います。AC3を再生する方法が今あるのか、現時点ではできないと言ったほうがいいのか、よく知りません。
ファイルに含まれているAC3が、将来的に再び利用可能になるのかどうかも不明です。もしこのオーディオが必要なら今の時点で対処の方法はないと思います。エラーが出ていてもファイルを温存するのが得策です。
そうでもないこともある
世の中、簡単な答えがあるとは限りません。
AC3が原因で、これがあるとエラーになるというのは全体の一部の答えにすぎません。AC3がファイルに含まれていてもQuickLookできてQuickTimeXで問題なく開くことが出来るファイルもあることを発見しました。
二つのm4vファイルのプロパティです。上段のはQuickLookも出来ずQuickTimeXでエラー1718449215が発生します。下段のはQuickLook出来るし、QuickTimeXで問題なく開けます。
この二つの違い、エラーが出るファイルと出ないファイルの違いをどうやっても見つけることが出来ませんでした。
もちろん、両方ともQuickTime7で問題なく開いて再生できます。
この謎が残る限り、対処も限定的なものとなります。仮説というか想像にすぎませんが、AC3オーディオの内容やチャンネル数に関係しているのかもしれないですね。
うろ覚えで適当な情報ですが、Soundtrack Pro でオーディオファイルを作成するとデフォルトで5.1チャンネルになっていたように思います。Soundtrack Pro は後に Final Cut Studio に含まれるようになりましたから、映画のサウンドトラックとして5.1チャンネルがデフォで当然だったかもしれません。当時、必要ないのに多チャンネルAIFFファイルが作られ、2チャンネルに書き出す作業を加えていたことを覚えています。
しかしあのころはQuickTimeで5.1出力できていたんだよねえ(しんみり)
もちろんSoundtrack Pro を使っていない最近のムービーファイルも同じエラーが出ますから原因として特定し名指しするわけではありません。
完璧な対処はMojaveを使わないこと
さて、エラーの完璧な対処は、OSを10.12以前に下げることです。これで全ての問題はなくなります。ただし、相当に後ろ向きな対処なのであまりオススメしません。さすがの後ろ向き人間であるデジタル部長もこの解決を選択しません。
エラー 1718449215の対処
死んだ子の歳を数えていても仕方がないので、未来に向けてエラーの対処を行います。
AC3絡みのエラーが出ている場合、AC3を消去しても問題ないのであれば、これを消すことで問題はなくなります。
AC3を削除して保存して改名
ファイルからAC3オーディオを削除してmovとして保存、movを元の拡張子に戻して完了です。使用するのは QuickTime 7 です。
QuickTime Playerで該当ファイルを開き、コマンドJしてプロパティを表示します。
AC3を削除して保存します。mov ファイルならそのまま保存できるのかな。もしm4vとかmp4だったなら、保存を選ぶとmovとして別名保存する必要があります。
別名保存した mov のままでもいいし、元のファイルの拡張子に戻したければ戻します。
これでQuickLookもできるし、QuickTimeXで開くこともできるようになりました。
エラーファイルを特定する
さて、エラー1718449215はオーディオフォーマットのエラーです。AC3が最も怪しい奴ですので、これを削除して変換します。
変換作業をするにはファイルを特定しなければなりません。たくさんあるファイルから、どうやってエラーファイルを特定しましょうか。
AC3ってコーデック?
エラーが発生しないファイルにAC3を含んでいるパターンもあります。そういうのは変換する必要ありません。でもエラーが出るファイルの全てがAC3を含んでいます(多分)
とりあえずは内部にAC3オーディをを持っているファイルを検索します。検索できるんでしょうか。Finderでやってみましょうか。
検索の条件を探ってみますと「コーデック」がありましたので、コーデックが「AC3」で検索してみました。AC3フォーマットってコーデックなんでしょうかね?
結果がそこそこ出てきました。多分、この検索方法で合ってるんですよね。でもこんなに少ないかなあとやや不信感。
とにかくリストされたので、一つずつ見ていくしかありません。見ていくといってもオープンする必要はありません。QuickLookを出しっぱなしにしてリストを矢印キーで送って確認します(以前のFinderではCoverFlowが使えたのでこうした作業に最適でしたが、その表示がなくなりすっかり不便になりました)
エラーがなければQuickLookできますし、エラーがあればくるくる状態になります。
かなり面倒ですが、こうやって一個ずつ確認していくしかありません。エラーファイルがあればQuickTime7で変換します。
他の変換方法
QuickTime 7を使わない他の変換方法もあります。あまりお勧めできませんができなくはないので一応書いときますか。
Compressor やその他アプリで変換
Compressorを使います。ファイルを特定した後、Compressorにて別の形式に変換しなおします。
AppStoreにもムービーファイルを変換するソフトがありますのでそういうのでも出来るかもしれません。
ただし、この手の変換方法には大きな欠点があります。つまりそれはムービーファイルそのものを再変換する作業となります。まさに「変換」です。そりゃあ変換してしまえばなんとでもなるわいなと思わないでおれません。
QuickTime 7 を使った変換ではAC3を削除する以外何も変更しませんからね。やるなら QuickTime 7 がやっぱりお勧めです。
ただし、Compressorを使って再変換せざるを得ない状況もあり得ます。
Mojaveより後のmacOS
Appleの Final Cut Pro X の互換性のないメディアについて や macOS 用 iMovie の互換性のないメディアについて に、聞き捨てならないことが書いてあります。
「iMovie ライブラリに入っていない互換性のないメディアを変換する」や「QuickTime Player で互換性のないメディアを変換する」に書かれているそれはこうです。
QuickTime Player (バージョン 10.0 以降) で互換性のないメディアファイルを開いて変換し、コピーを新しい名前で保存することもできます。macOS Mojave より後のバージョンの macOS では、この方法はサポートされなくなります。Final Cut Pro X の互換性のないメディアについて
互換性のないメディアファイルを変換するには、macOS Mojave 以前の QuickTime Player (バージョン 10.0 以降) でそのファイルを開いて、新しい名前を付けてコピーを保存します。この方法は、macOS Catalina では使えません。macOS 用 iMovie の互換性のないメディアについて
変換できるのは Mojave まで、それより後ではQuickTimePlayerでの変換はできないと言っておりますね。
今回のこのポストでは、Mojaveでもそれができないというエラーについて書いています。QuickTimePlayerXではできないので、代わりにQuickTime 7を利用したわけですが、Mojave より後のmacOSではQuickTime 7 が動かないので当然なす術がなくなります。
ムービーごと再変換をするしかなくなり、時間の損失は計り知れない量となりますね。
結論
10.12 Sierra 以前のOSではQuickTimeに妙なエラーはほとんどありませんでした(Final Cut Proでは頻出しますが)
10.14 Mojave ではエラーが出まくります。それ自体は問題ですが、エラーが出ることで今後開くことが出来なくなるファイルを特定、変換作業を余儀なくされます。それは必要な措置です。これをやれるのはMojaveまでです。そういう意味ではMojaveでのみ機能する大事な出来事であるといえます。
10.15 以降ではどうにもなりません。Appleは多分こう言っています。
新しい世界へようこそ。古いファイル?捨てちゃえ。子供の成長記録?知らんがな。
いや、誰も表だっては言ってないのに引用にすんなよ💦
ということで、本日このポストは エラー1718449215についてでした。これはオーディオフォーマットのエラーで、多分AC3を削除することで修復できます。
これはエラーのうちのひとつかもしれません。他の問題が発見されれば対処を試み、未来に繋げます。
尚、この問題は
・QuickLookできないこと
・Macのデフォルト機能を用いている他のアプリで再生・プレビューできないこと
であって、動画ファイルそのものはQuickTimePlayerX以外のすべてのプレーヤーで問題なく再生できます。
せっかくのオリジナルファイルを劣化させてでも対処する必要があるのかどうか、よく考えましょう。