Mail.app で時々発生する苛立つ現象と言えば、スマートメールボックスとルールが消えることです。
Mail.app スマートメールボックスとルール
ぜんぜん使い勝手も良くないし検索も不便で褒められたものじゃないんだけど、見た目に優しいし気軽だからと長年ただ何となく使っている Mail.app です。メールソフトなんてのは今や迷惑メールをチクチク消して回ることだけが使用目的みたいになっておりますね。それでも使わないという訳にはいきません。だからこそ、少しでも快適にしたいわけです。
スマートメールボックスとルール
スマートメールボックスとルールという機能があります。これらは素晴らしいものです。ただし、ちっともスマートではありません。複合的な条件を作れません。つまり「〜 かつ 〜。または、〜 かつ 〜」とか「〜 だけど 〜 は除く」とか、そういうことができません。 できることは単純にして単一なand検索とor検索だけです。
ですので、少しでも複合的な条件を作りたければ、まず単純にして単一なメールボックスなりルールを膨大に作成し、それらを組み合わせたり、はたまた連絡先.appと繋げたりしながら知恵と工夫を凝らさなければなりません。面倒すぎるので誰も本気ではやりません。
そんなわけですが、スマートメールボックスとルールは、いくつか作っておくと、低機能ながらまあまあ僅かに便利なものとなります。私も、長い年月を掛けてそれらをチクチクと作ってきました。
時々発生する忘却という病
さてMail.appでは、たまにスマートメールボックスやルールを忘れてしまう病気に罹ります。
症状
症状は、スマートメールボックスやルールを作っても、Mail.app を一旦終了したら次回起動したときに新たに作ったものが全部消えます。以前作成した状態に戻るんです。
気付かぬ発症
ルールを一個二個追加した時なんかは、この病に気付くことがあまりありません。「あれ?前回ルールを編集したと思ったんだけど。気のせいかな」程度です。あるいは、「この前作ったルール、全然効いてないな。いい加減なものだな」程度です。
そうです。「気のせい」と「いい加減な機能だな」と軽く思うだけで、症状に全く気付かないんです。私も、数年間そのように気付かずにいました。
現象は「消える」のではなく「保存されていない」
ある夜、気の迷いで十数個のスマートメールボックスやルールを作ったんですよ。数時間かけて。試してみても上手く動いています。やれやれ少しは報われたなと思った次の日、全部消えていました。さすがに「気のせい」とは思わず「設定したのに消えた」と認識しました。それから毎日、せこせことスマートやルールを作りましたが、やっぱり消えます。以前作ったものに戻ってしまうんです。消えるだけならまだ判りますが、ある時期に作った状態に戻るというのが苛立たせます。
スマートメールボックスとルールの設定は、以下のファイルに保存されています。これを確認してみましょう。
スマートメールボックスの設定ファイル
~/Library/Mail/V6/MailData/SyncedSmartMailboxes.plist
ルールの設定ファイル
~/Library/Mail/V6/MailData/SyncedRules.plist
V6 でなく別の数字かもしれませんが MailData があればそれです。
設定ファイルが更新されていない
ファイルの変更日付を見ると一目瞭然。2年前の日付のまま変わっていませんでした。スマートやルールを編集しても追加しても、ファイルがまったく更新されないはずです。
対処
対処1 効果がない普通の対処
さて近頃検索精度落ちまくりのGoogle検索を頼りにいくつか情報を追います。まず出てくるのは全く効果がない当たり前のトラブルシューティングですね。シフト起動だのパーミッションだのAidだの他ユーザーで試すだのLibrary/Mailフォルダを一旦外に出してみるだのですが、それらはまったく効果ありませんのでやりたければやればいいですがここではすっ飛ばします。
対処2 効果があるかもしれない対処
やや効果があるかもしれない対処が二つあります。やや効果があるかもしれないんです。実際、やや効果があったこともありました。言いよどんでおりますのは、一瞬効果があったけれど、再び更新されなくなったという経験があるからです。
メールボックスの再構築
メールボックスをすべて再構築します。全てのメールボックス、全てのフォルダで再構築即ち再ダウンロードします。これをやってほんの一瞬効果が得られたことがありました。
Spotlight インデックスの作り直し
スポットライトインデックスの再構築です。何の関係もなさそうだが大抵の悪さの原因となりがちなSpotlight インデックスです。これを作り直します。システム環境設定のSpotlightのプライバシーにディスクを全部ぶっ込んでから全部外しますと再構築を始めます。
以上のふたつは、場合によっては一見効果があるかもしれません。これで治ればラッキーですが、私の場合は直後にまた症状が出て、対処にはなりきれませんでした。
対処3 iCloud をどうにかする
答えを先に言いますと、あら、随分引っ張ったので先じゃなかったですか。はい。悪名高い iCloud です。もうね、多分、真犯人はこいつですよ。間違いありません。
「大抵の問題は cache か Spotlight か iCloud である」との言い伝え通り、iCloud を疑いましょう。
iCloud その1
まずシステム環境設定の「アカウントの詳細」から iCloud に接続している他の全てのデバイスを削除します。今使っている Mac だけが残ります。この状態で作業します。この状態で、上記の再構築などあれこれ行うと、運が良ければ治ります。
iCoud その2
その1でも私の場合は治りませんでした。次に行うのは iCloudDriveの解除です。チェックを外します。
Mailの設定と iCloud Drive に何の関係があるのかわかりません。iCloud そのものならともかく。でも iCloud を全部切るのも面倒なので、試しにDriveだけ切ってみました。
治った
この状態でメールのルールを編集してみると、SyncedRules.plist がついに更新され、変更日が今日この時になりました。やった!
本日の話題、結論と答えはこの章にあります。見逃してはいけないので画像付きでお送りしました。
どういうプロセスで iCloud Drive が絡んでいるのか判りませんが、これで治ったんだから喜びます。
iCloud その3
もし、その2 でも変わらなければ、iCloud そのものからサインアウトしてログイン中のデバイスが一つもない状態にしてから、一つを除き他のデバイスすべてからiCloud のローカルデータを消していって、それから改めて生かした唯一のデバイスでログインして iCloud を強引に更新させます。気の遠くなるような作業になります。
それでも駄目なら、iCloud のデータをリセットしてもらうべく、Appleにお願いするしかありません。私は以前、どうにもならず一度リセットしてもらったことがありました。クライアントの努力ではリセットできないので依頼する以外にありません。
結論
ということで、メールアプリのルールやスマートメールボックスが保存されない現象は、ほぼ iCloud のトラブルと言い切っていいと思います。
「ルールが消えた」「ルールが以前の設定に戻ってしまう」「スマートメールボックスが消えた」「新たに設定してもメールを一旦終了したら消えてしまう」「Mail.app rules are not saved」「Mail.app rules revert to previous settings」と、いくら検索してもなかなか有効な答えがヒットしませんが、「悪の根源は常に iCloud 」と肝に銘じておくと、無駄な努力をしなくて済むかもしれません。
あとがき
お話とは関係なしに、告知コーナーを併設していて申し訳ありません。
向井荘の人々 2023/2/23 京都 伏見区 Annie’s Cafe
向井千絵, アリスセイラー, 山崎晴美, 渡辺隆雄, ホソイヒサト (bikke は怪我のため出演不可となりました)
私も出演します。このポスターも作りました。
それから、松本零士先生のご冥福をお祈りいたします。10年くらい前、ご一緒させていただきました。先生の原画を壁画にしたんですよ。松本零士壁画プロジェクト。貴重なお話も沢山聞かせていただいたし、奥様にもお世話になりました。世話になった人、影響を受けた人がどんどんいなくなって辛いです。