iTSで映画が始まったことを受けたのか、DISCASがサイトリニューアルしてました。
iTSとDISCAS、その方向性の違いが明確になったように感じます。ちょっと比較してみましょう。
DISCASのリニューアルはデザイン的には無骨で美的センスは悪く、余計な飛び出す画面が出てきたり専有面積が大きかったり使い勝手は悪いのですが、かなり高機能なサイトとなりました。
「映画に出会う機会を増やす」ことに重点を置いたように感じます。一覧表示に優れ、大まかな絞り込みで気になるタイトルに出会える工夫がされているんですよね。
まず、「表示しない」という設定が充実しました。全く興味がなく、画面に出てきて欲しくないジャンルを登録情報のページであらかじめ設定しておけます。
例えば私の場合なら「アダルト」「テレビシリーズ」「テレビマンガテレビバラエティ関連」「映画でないもの(ハウツービデオなど)」など。チェックしておくと画面に出てこなくなります。これは待ちかねた機能です(以前からあったっけ?)
「新着タイトル」なんてのを見たとしますね、これまでは新着タイトルがだだだーっと画面に出てきて、そのほとんどがテレビドラマやアニメや何かわけのわからないものでした。
「表示しない」設定が細かく指定できるようになって、漠然と「新着タイトル」を眺めたときの景色が一変、大変見やすくなりました。
次に検索機能です。普通検索と言えば検索窓に言葉を入れますが、いつも狙ったタイトルを探したいわけではありません。人は大抵の場合、てきとうに探したいものです。例えばジャンル、例えば製作年度、例えば製作国、例えば映画賞なんかを対象にして「何か面白そうなのないかな」と。
この漠然と探したい欲求をかなり満たしてくれる検索というか絞り込み機能が充実しました。
使い勝手が悪いので最初戸惑いましたが、上部のメニューから最初に何か(ジャンルや製作国など)選ぶ、あるいは、検索窓になにも入れずに「検索」ボタンをクリックすると、次に絞り込む画面に移ります。
画面の左側に絞り込める要素が現れまして、それらをクリックすることでどんどん絞られていきます。
DVDかブルレイか、洋画か邦画かなどです。他に、リリース時期、ジャンル、製作国、製作年、映画賞なんかで絞り込めます。
年代は10年単位→1年単位、製作国はヨーロッパ→フランスというように大きな括りも小さな括りも選べるんですね。
これにより、例えば00年代のカンヌ受賞したスペイン映画、なんていう探しかたができるんです。これはいいです。
どんどん見知らぬ作品に出会えるんですね(仕入れている映画であれば・・・)
絞り込みを解除するというか元に戻るには、画面左上に「パンくず」と呼ばれる、今サイトのどの位置にいるかを示す表示が出るので、そこで「全て」にもすぐに戻れます。
この絞り込みの充実によって、出会える映画が間違いなく広がります。これは映画ファンには嬉しい機能強化でしょう。
埋もれている作品、未見の作品をより広く映画ファンに知らせるという作り手の目的を感じます。
つまり映画ファンへの提案です。
DISCASは仕入れセンスや在庫数、商売のやり口なんかに関していろいろ文句もあるんですが、今回のリニューアルは、デザイン性使い勝手はまあともかく、機能的には映画ファンにとってかなりありがたい改変となりました。
ちょっと触って遊んでみただけで、未見の気になるタイトルがいくつも発見できましたよ。
あとはもうちょっと仕入れと在庫を・・
非表示設定をきっちり行った結果、映画のタイトル数は25000くらいであることが判明しました。さらなる充実を望みたいところです。
一方のiTSはどうでしょう。
iTunes Storeの映画トップを見ると、トップチャートと人気作を大きく全面に打ち出しているのが一目瞭然、見て取れます。
トップチャートと人気作以外を探すには、具体名を入力して検索するしかありません。もちろん「仮面ライダー」を非表示するなんて事は出来ません。
ジャンルもありますが大雑把な括りです。
これでは例えば「スリラーの字幕版」を探し出すことすら出来ません。
(ちなみに、iTSでは字幕と吹き替えは別タイトルとなります。いろんな権利上の都合で仕方ないそうなのですが、これを考慮すると、総タイトル数は2/3くらいに考えないといけませんね)
ジャンルのページへ飛ぶと、並び替えはこのようなメニューで、どの国の映画か、いつの映画かという最低限のヒントすら得られません。
基本的に、漠然と映画を探し出すことが不可能なインターフェイスです。
現時点ではお披露目ていどのタイトル数なので眺めればすべて確認できますが、このままもしタイトルが増えた場合、漠然と未見で好みの映画に出会える可能性はほぼありません。
iTS全体がそうなのですが、何となく漠然と何かを探し出すことは考慮されていないんですよね。ではどうしろというのか、それはAppleファンが何とかしてくれるのを待つのです。
親切な誰かが自分のブログやサイトでお勧め作品を挙げてくれたりするのです。それに頼ります。
Appleは昔からユーザーを営業マンに仕立て上げるのが実に上手いのです。
もうひとつ、その営業マンを増やすためPingという機能があります。ソーシャルネットワークに似たこの仕組みを使って、誰々さんが気に入っている作品、とかそういう感じで作品に出会うよう誘導するんですね。
つまりそれらを含めて、結局のところ人気作の部類であるということです。それ以上の、例えば絞り込み検索、映画賞で探す、フィンランド映画を探す、60年代のアメリカ映画から探す、なんてのは「普通の人には無用!」ということなのですね。
それはそれで一理あります。多くの普通の人々は年代や国や映画賞でなんか映画を探しません。話題作、人気作だけで十分なのです。
ちょいと気になった映画を見る、誰かさんのお薦めを見てみる、その程度でよい。放っておいても映画ファンやマニアは自分で何とかするものだ、という考え方なのでしょう。
というわけで結論めいたものが出ました。
iTSは広く一般の人に向けた映画配信を始めた。人気作だけでもなんでもいいから気軽さが最も大事だ。
DISCASは映画ファンの利便性を高めた。人気作だけに集中されても困るから広くいろんな映画を知って借りてくれ。
と、こういうことではないでしょうか。
というわけでMovie Booは絞り込みは残念ながら出来ませんが年代や国で括っております。Movie Boo
追記:
というわけでiTunesの映画が始まって1ヶ月近く経ちました。
その間、若干タイトルは増えた模様ですが、誤差の範囲です。例えば、字幕映画は開始当初230本くらいだったのが現在260本くらいに増えています。
しかし、増えたタイトルが何かを確認する方法がありません。「リリース時期」で並び替えたら判るだろうと思っていたのですが「リリース時期」は「iTunesにリリースされた時期」ではないようで、どのタイトルが新しくラインナップに加わったのか確認する術がありません。
わずかなタイトル数しかないにもかかわらず、すでに「タイトルを見つけ出せない」状況に陥っています。
開始当初は多少話題にもなっていましたが、iTunes映画の使いにくさは人を敬遠させるレベルです。これは改善を望みたいところですね。