MacOSXでは10.13 High Sierra から Finla Cut Studio がすべて動かなくなるということで、何とか時代について行くべく奮闘しようと試みるわけですが何ともならず泥沼化したというお話を一席。
macOS 10.13 High SierraからFinal Cut Proが起動不可
「Final Cut Proをお使いのようですがHigh Sierraでは起動しなくなるのでFinal Cut Pro Xをお買いもとめください」とユーザーの神経を逆撫でするメールがAppleから届いたあの日からすでに時も経ちました。
Final Cut Pro が起動しなくなる前にプロジェクトファイルの救済や延命措置が必要となります。なぜならFinal Cut ProのファイルをFinal Cut Pro Xでは読むことも開くこともできないからです。Final Cut Pro X はFinal Cut Proとは関係のない別アプリケーションです。
Final Cut Proに留まらず、Final Cut Studioの全アプリケーションが動かなくなります(Motionだけはアップデートされてます)
OSを10.13に上げる予定はありませんが、未来永劫いつまでもというわけもいかないのでいつか何とかしないといけなくなります。
XMLによる移行
いくら何でも同じ目的、同じ名前のアプリケーションが完全非互換とは信じ難いし、Final Cut Proは圧倒的なシェアのメジャー編集ソフトでしたから、いつかFCPプロジェクトをXで開けるようになるだろうと希望を持っていましたが全くそうはなりませんでした。
Final Cut Pro 7 から Final Cut Pro X に移行する というAppleのページを見れば、FCPのファイルをFCPXで開くための SendToXというアプリケーションがAppleでない会社から発売されていて、これを使って移行してくれと書いてあります。ははぁ、他社製のソフトを使えばプロジェクトを移行できるのか、と、思ったこともありました。
リンクされている情報が英語PDFなので無視していましたが、仕方なしに翻訳機にかけて読んでみるといろいろ条件があったり互換性がない部分があるとわかります。
XMLを介してプロジェクトを移行するのでプロジェクトを汎用性の高い形に作り変えてやる必要があるわけです。
当然なことですがFCPの独自機能であるMotionやSoundtrackやLiveTypeとの連携は全滅です。フリーズフレームもダメですって。キーフレーム補完がすべて直線になってしまうらしいし、まあいろいろと移行できない部分があります。
タイムラインにクリップが並んだだけの互換
内心、SendToXを使っていつかFCPXに移行するかな、なんて甘く考えていましたが現実はそれほど優しくありませんでした。
SendToXを使ってFinal Cut Pro Xにタイムラインを移行するためには、FCPプロジェクトを汎用性の高い単純なシーケンスに大改造する必要があります。その上で、その単純なクリップが並んだだけのXMLをFinal Cut Pro X 専用のXMLに書き直すのが SendToX の仕事らしいです。
FCPプロジェクトファイルの大改造をやって汎用性を高める、これが最も手間がかかる仕事になるわけで、これをやれるんなら特にFinal Cut Pro Xにこだわらなくても他のビデオ編集ソフトにだって持って行けます。PremiereでもDaVinciでもAvidでも、XMLファイルを読んでシーケンスを再現することができます。
※ ただしSendToXとFinal Cut Pro Xに優位な点も多くあります。他の編集ソフトに移行するのに比べて、移行できる部分が多いのは事実です。
Final Cut Proは基本どこにも移行できない
XMLの互換は完全ではありませんので、Final Cut Proの編集をXを含む別の編集ソフトに引き継ぐことは不可能なことであるという現実をまず了解しないといけません。私はこの了解までに随分時間がかかりました。
SendToXとFCPXの組み合わせで出来ること出来ないことを本気で把握することは困難なので(日本語のテキストも全く用意されていませんし)ここは一足飛びに全編集ソフト共通の汎用的なタイムラインに作り変えることを命題にするしかないと決断、その方向で進みます。
FCPシーケンスを単純なクリップ集に大改造
そんなわけで、Final Cut Pro のプロジェクトファイルを大改造するわけです。
プロジェクトファイルの確認
まずはプロジェクトファイルを開いて見てみるということから仕事が始まります。これがまあ面倒臭いのなんの。
FinderでFCPプロジェクトファイルを検索して抽出してみるとわけのわからないものも含めて数百のファイルが出てきました。実際の話、大半はゴミです。でもゴミかどうか開いて見てみないとわかりません。
後々のために保存しておくべきプロジェクトファイルなのかどうなのか、いちいち開いて確認するわけで、ただファイルを開くだけで一苦労です。というのも、まともに開けないファイルが多くあります。あるいは、FCPの旧バージョンのファイルも沢山あります。そして参照ファイルのリンクが切れまくってます。リンク切れを修正しようとFinder検索使いまくりで、どう検索しても見つからないものもあります。
さらに、開くと落ちるファイルが多数あって焦ります。開いてタイムラインを見ているとフリーズしたり落ちたりします。エラーファイル、壊れたファイルでしょうか。
連携でエラー
エラーで落ちるファイルに一貫した特徴があることがすぐにわかりました。それは連携を利用したファイルです。シーケンスのタイムライン上にMotionなど他のFinal Cut Studioのファイルが貼り付けてあります。Soundtrack Proのファイルも貼り付けてあります。おっとLiveTypeのファイルまで。
これら連携こそがFinal Cut Studioの魅力でした。クリップを配置し、例えばMotionに送信して加工すると即座に反映する未来のような技術でした。この機能を便利に使いまくっていましたがここに来てアダになりました。
しかし連携したシーケンスが必ず落ちるというのも解せません。思い当たるのは、OSを10.12に上げてしまったこと、それとFinal Cut Studioのアプリケーション群を「Final Cut Studio」というフォルダに格納していることです。他にも原因があるかもしれません。
Mavericksで作業
可能性をいちいち検証している暇もないので、10.9 Mavericks で起動してみました。Final Cut Studioがみんな幸せに生きていたころのOSです。すると連携ファイルを開いて中身を弄っても落ちることがなくなりました。
原因追及はしませんがMavericksで出来るのならこのままやるだけです。プロジェクトファイルを開き、シーケンスを拡大しながら眺めて連携を使用しているかどうかチェックします。
連携クリップ
連携があればどうするかというと、連携元のアプリケーションで該当クリップを開きレンダリングして独立型ムービーにしてからFCPに読みこんでシーケンスに貼り直します。これが予想通り面倒な作業となります。
例えばMotionで開いたら今度はMotionが部品のリンク切れを報告してきたりしますし、完全に壊れていて開かないことも発生します。さらに、開いて眺めているうちにちょっと弄ってみたくなったりします(これは自業自得)
地獄の連鎖
Motionはまだ楽なほうです。Motion5はMotion4ファイルをちゃんと読めるし、そもそも新しいOSに対応しているMotion5がMotionとして継続して存在しているからです。
LiveTypeやSoundtrack Proは完全にアウトです。修正してもFCPと同じくバージョンアップされず消滅させられたアプリケーションなのでこの先ファイルを開くことができなくなります。修正しても無駄なんです。
ということはどういうことか。LiveTypeやSoundtrack Proのファイルも汎用性あるいは再現性を確保して作り直さねばならないということです。Final Cut Proのシーケンスを改造する前にやることがあったわけで、その仕事量に目眩がします。
LiveType
LiveTypeはレンダリングしてムービーを保存し、長いテキストの場合はテキストのコピーを保存しておいたり、特に重要なフォントを使っていたらフォントを記録しておくに留めます。考えてみればLiveTypeって古いですよね。新しいFCSには付いていなかったんじゃなかったでしたっけ(新しいFCSというのもどうかと思いますけど)
Soundtrack Pro
さてSoundtrack Proで立ち止まります。FCPシーケンスに貼り付けているだけでは済まず、普通にオーディオ編集に使っていた重要ソフトなんです。波形編集としても優れていたので、実際わりと直近まで使用していました。ファイル数は映像ファイルとは桁違いです。
FCPの改造はこの先もプロジェクトを再利用するためにやりますが、今後、OSがサポートを切って起動もできなくなるのはSoundtrack Proとて同じです。Soundtrack Proのファイルも救済しなければ。
OSを上げて起動できなくなるソフト
起動できなくなるApple製ソフトの呪いに改めて気づいて唖然とします。
考えてみればiMovieの古いバージョンだってそうです。iMovie HDというのがあって互換性の橋渡しをしていましたがそのiMovie HDすら現在10.12で開くことができません。実はiMovie HDとその前のバージョンは個人的にとても重要なんで、大事なファイルもあるんですよ。他にもDVD Studio Proなんてのもありましたね。これも多くはないですがプロジェクトファイルが残ってるのでDVD形式で保存するなり内容物を個別に保存するなりしておかねばなりません。
MacOSの切り捨て路線は今に始まったことではありませんのでこれまでいろいろと対処してきました。クラリスワークスやGaragebandはとっくに変換作業を終えています。ビデオ編集関係は手間が掛かりすぎるので見てみぬふりをしていたんです。
QuickTime
ビデオ関係の呪いで大きいのがQuickTimeの廃止です。これのせいで大半のムービーファイルがQuickLookできなくなって内容の確認さえ面倒なことになりました。Apertureに読み込んでいたファイルでもびっくりマークで「読めません」と言われる始末。
それからQuickTimeの参照ムービーが新しいOSでは何かと問題を引き起こします。FCPはじめ過去のAppleソフトでは内部的に参照ムービーの仕組みを用いています。FCPシーケンスの改造作業で問題が発生するのもQuickTime廃止の影響が大きいんです。
今後のことを考えればQuickTimeのファイルを一斉に書き出しとかないとヤバいことになりそうです。
あとあの、あまり重要でもないんですが昔QuickTimeVRというのがありまして、これが気に入っていろいろ遊んでいました。QuickTimeVRのファイルはどうすれば今風の形式に変換できますか?誰か教えてください。
拡張子
これはさすがに今更と言っていいと思うんですが、今でも拡張子のないファイルが大量に残っています。長い時間かけてちょっとずつ気づいたときに拡張子を付ける作業をしていたんですが志半ばで忘れていました。拡張子がないファイルにはムービーもあれば音楽もありますし、旧Soundtrack、FCPなどのプロジェクトファイル、最早何の何なのか全然わからない謎のUNIXアイコンと化したデータ群まであります。
FCPシーケンスにも拡張子のないファイルが貼り付けてあって、メディア再接続のときに探せなかったり新しいOSでエラーが出たりします。
謎のデータはMacOS10.5や10.6で起動して眺めれば大半は何のファイルかわかったりします。それでもわからないものは旧OS時代のものかMacOSXでも初期の頃のやつですね。
変換や互換性確保の作業を長年放置していたせいで、身から出た錆とも言えるんですが、MacOSがリソースを廃止してからこうなりましたね。あれの痛手はまだまだ続きますね。・・・いつの話やねんと。
とにかく、OSのバージョンが上がる度に開けないファイルが激増し余計な仕事が増えるという悪循環がずっと続いています。
話があらぬ方向に広がっていますが、FCPを何とかしようとした結果こうなりました。これはApple製アプリの呪いで泥沼ですが、さらにコンピュータどころか文明社会の未来を悲観させるに十分な哲学的テーゼを含んでいるとわかりますね。ほんの数年前の大事なファイルが二度と開くことも確認することもできないという事実にどれほどの人がきちんと対峙しているのだろうかと妙な心配をし始めたりします。三万年前の洞窟壁画は残りますが、直近の知の財産は数年で消えるのです。これが文明社会というのなら、文明社会は消滅を目的として存在しているのかという、もうわし何言ってるのかわからんくなってまいりましたが。
連係を解除していく
気を取り直して連係解除の続きいきます。連携機能により貼り付けたクリップはすべて新たにレンダリングし直したファイルに変更しますね。
Motion
Motionは新しいバージョンで開いて保存、レンダリングしたムービー貼り直します。Final Cut Proは消滅しましたがMotionは継続して生きています。望みはここにあります。
Soundtrack Pro
Soundtrack Proも書き出したオーディオファイルを貼り直します。オリジナルオーディオは別保存し、Soundtrack Proで施した調整はモジュールのスクリーンショットを取りあえず撮って書類にして保存しました。この書類があればSoundtrack Proが起動できなくなっても他のオーディオ編集ソフトで似た感じに仕上げられます。
Soundtrack Proの代替ソフトが見つからないので直近まで普通に使用していました。しかし最近はizotop RX7がその役割を担いつつあります
(-> iZOTOP RX7 – Digitalboo)
ただSoundtrack Proが今でも手放せないのはオーディオコンバートが素早くできるからで、これはなかなか他に代替が見つかりません。
LiveType
LiveTypeもレンダリングして貼り直します。テキストとフォントをメモして保存しておきます。LiveTypeはまあもういいですよねさすがに。
見つからないファイル
見つからない参照ファイルはよほどの場合を除いて諦めます。シーケンスの該当クリップの場所を見て、すげー大事そうなら必死で探しますがどうでもよさそうなら削除するか代替を置くかしておきます。これはAppleのせいでも何でもなく己の責任でこうなりました。
ただ、10.6.8でシステム起動して開いたらリンクが生き返ったり参照ファイルが簡単に見つかったりすることがあります。
シーケンスのネスト
厳密には連携じゃありませんが、シーケンスのネストも解除してやり直す方向です。シーケンス内のシーケンスを根っこの部分から丹念に見ていくしかありません。クリップの関係がややこしいものは別途メモったりしながら地道に解析します。個人的に、ネストしてるシーケンス多いんです。※1
Photoshopファイル
他に、Photoshopのレイヤー付きファイルを読み込んだものがFCPではシーケンスのような扱いになっていたりします。これも解除して単純な画像に置き換えねばネスト扱いで他の編集ソフトに情報行きません。※1
後で気づいたことですがPDFのリンクが編集ソフトによってはエラーとなります。DaVinciなんですが。PDFをクリップにしているシーケンスのXMLを読み込んだら「ファイルがない」と言われ、検索すると100%フリーズします。ですのでPDFをクリップに用いているものも念のために全て画像に変換します。
連携を解除と言いますが、実際のところ連携の解除に留まらず、クリップをすべて単純なムービーファイルや画像ファイルに変えてやるということですね。Excelで例えれば、セル内の計算式をすべて計算結果のテキストに置き換える作業に近いのです。
フリーズフレーム、テキスト、ジェネレーター
テキストも図形などのジェネレーターもフリーズフレームでさえもほぼ互換性を保つことはできないと思っていたほうが良さそうです。いろいろ試した結果それがわかりました。編集ソフトによっては基本的なところで再現するものもあるのかもしれませんがよく分かりません。
フリーズフレームは画像に変換して置き直しですね。後の編集ソフトの同機能で作り直すのもありでしょう。テキストはLiveTypeと同じく、長いものはテキストファイルで保存したり、変更の予定がないならさっくり諦めてレンダリングしてしまうしかありません。
基本モーション
汎用タイムラインを作る際に最もエグいのが、この基本モーションの互換性がないところです。XMLというものに過剰な期待を抱いていた弊害なんですけど、基本モーションなんていうのは他の編集ソフトと互換性ありません。一部ありますけどあったりなかったりでどっちにしろちゃんとできません。で、致命的です。※1
サイズ・拡大縮小
まずもってクリップのサイズの情報が全然他の編集ソフトに伝わりません。拡大縮小率がXMLを読み込んだ先で再現されることはまずありませんでした。DaVinciですけど。クリップのムービーが全部デフォルトサイズになってしまうか、あらぬ数値に変えられてしまいます。
移動や中心点
移動させたクリップはXMLで伝わります。ですが移動距離が無茶苦茶でした。クリップサイズが再現されていないのに正確な移動距離の情報まで伝わるわけがありません。そもそも移動をどういう数値で管理しているのかは編集ソフトによって異なります。結果は無茶苦茶になります。
クリップの移動に関してDaVinciで悲しい事実がありました。画面の外から中心に向かって移動してくるクリップがあったんですね、このクリップはサイズの大きな画像で、画面の外に出すため中心点をY軸1100pxに指定していました。これを読み込んだら、画面の外にいるはずのクリップが最初から半分顔を出しています。で、画面の外に出そうとDaVinciでY軸1100pxと入力したらこれを受け付けないんです。プロジェクトサイズは1280*720で、なんとY軸に720px以上の数字を入力できないんですよ。これはショック。画面の外に出す方法自体が存在しないという、完全にアウトですね。こういうことをしたければMotionとかDaVinciならFusionですか?そういう別のソフトを使ってレンダリング結果を配置しろということですね。
エフェクト
その流れでついでにいうとエフェクトもそうでした。基本的なエフェクトくらい何とかなるんじゃないかとまだ淡い期待を持っていましたが完全に無理でした。
エフェクトは基本消えると考えたほうが良さそうです。イケるのもあると思いますが何がイケて何がいけないのかという情報が手に入りません。自分でデータ取るほどの余裕もありません。何度も戒めのように言う通り「基本的に移行なんかはできない。ただクリップがどう並んでるかくらいのことならできなくもない」という、これを肝に銘じなければなりません。
完全に諦めるのもひとつ
私のFCPプロジェクトファイルは多くがエグいことになっています。ただクリップを並べているだけの大人しいプロジェクトなんてのはほとんどありません。大半は過剰なエフェクトと目まぐるしいクリップ移動でできていて、今改めて思うのはビデオ編集の域を逸脱しているということです。AfterEffectsやMotionで作るべきことをFCPでやってるんだなと、何となく自分の異常さが理解出来てきました。
これをXMLのやりとりだけで移行するなんていうのは無謀以前に無理なことでした。こういう基本的なことに今初めて気づきました。
レンダリングしてしまうこと
エフェクトや基本モーションを駆使したシーケンスは、レイヤーごとにレンダリングしておく以外になさそうです。これ、つまりほとんど全部のファイル、全部のレイヤーで必要なことで、無駄な作業量に呆然としますし、何よりまったく意味ありません。
FCPが起動しなくなった後でもFCPで作ったシーケンスを修正したいと思ったからこその移行チャレンジです。修正というのはクリップのサイズ変えたり動きを変えたりエフェクトの数値を変えたり尺を弄ったりということです。レンダリングしてしまったら後で触りようがないからまったく意味がありません。
全部Motionにしてしまう
今めちゃくちゃ乱暴なことを思いつきましたが、FCPのシーケンスを全部Motionプロジェクトにしてしまうというアイデアどうですか。Motionなら新旧互換性あるし、旧OSで起動した上でFCPの連携機能を駆使してMotion化。これもしかしたらやる価値あるかも。ちょっと今度やってみてもいいかな、と沸々としております。ナウ。
諦める
FCPタイムラインを汎用性の高いクリップ並べただけのシーケンスに変更する作業ははっきり言って気の遠くなる作業量です。現実にそんなことやってる時間はありません。「やってみよう」と思い立ったFCPプロジェクトの移行チャレンジですが、複雑なタイムラインを持つファイルでは完全に不可能だとわかりました。ですので、ここは諦めるのが最も良い方法です。Final Cut Proが動くマシンを可能な限り温存させたりあえて手に入れたりして今後10年とか乗り切るんです。その間に真に必要なクリップだけが残っていくことでしょう。こっちのほうがよほど現実的と思われます。
確認する作業
またあらぬ方向に考えが行ってるので巻き戻します。複雑なタイムラインは移行を諦めるとして、そう複雑でもないタイムラインでは汎用性の高いXMLを作ることが可能で、そんなプロジェクトも僅かですがあります。その僅かな真面目ファイルを移行させましょう。
連携を切り、ややこしいクリップをレンダリングと置き換え、モーション変化を使っていない真面目なファイルをちまちまと改造します。
こうして汎用的なシーケンスが出来たなと思ったらXMLを書き出しますね。そしてテストします。
XMLを編集ソフトで開いてみる
XMLがほんとうに汎用的に作られたかどうか試してみないとわかりません。うっかりさんなので大抵は一度や二度でうまくいきません。
ですので「開いてみる」ビデオ編集アプリケーションが必要ですね。確認作業のためだけにFinal Cut Pro Xを買ったりAdobeのレンタルをしたくないので気軽ないい編集ソフトはないものかと探してみます。
Avid Media Composer First
天下のAvidがMedia Composerの無料版 Firstというのを出しています。これ最初登場したときは話題になりましたね。当時飛びつきましたが下準備が面倒なのと落ちまくるので速攻捨ててました。
今はバージョンも上がってるだろうし、XML移行の確認するくらいならイケるだろうと思ったら、だめでした。
無料のFirstはビデオトラックが最大4つまでという制約付き。あくまでお試し版ですね。大抵トラックは4つで済まないので目的を果たせませんでした。
Media Composer Firstをお試しで使って気に入ったところで、製品版が全部無限レンタル方式になっていましたので選択肢から最初に除外します。さようなら。
DaVinci Resolve
DaVinci Resolveも以前試してみたことがあるんですがバージョンいくつのころだっけか、なんだか使いにくいな、と思って捨てました。
現在、DaVinciはバージョンが15になっていて、無料バージョンでもかなりの高機能です。これで試そうとわくわくしてダウンロードして起動してみたら、以前うざかったライブラリどうのこうのという導入時のややこしさが緩和されて判りやすくなっていました。それどころか中身もかなりよくなっていて驚きました。
DaVinci Resolveはカラーグレーディング専用ソフトだったものがバージョン上がるごとに編集機能を充実させてきた経緯があるそうです。
さっきから何かの折りにDaVinciではこうだったああだったと不出来なことばかり書きましたが、複雑なことをしないという前提だとかなり使えそうです。操作方法もFCPによく似ているし、インスペクタ使いやすいし、というかチュートリアルを見て学習していけばいくほど「これってFinal Cut Proの正統進化ソフトじゃん」と強く思えてきます。
書き出し、テスト、修正のルーチン
FCPから書き出したXMLを読み込むと、上手くできたやつはすんなり読み込めます。XMLがよくない出来だとフリーズします。FCPに戻って確認すると大抵はどこかでチョンボしているか複雑なことをやってるシーケンスだったりします。諦めるファイルじゃなければ修正してXML書き出ししてDaVinciで開いて上手く行くまで繰り返しますね。簡単なプロジェクトではこの流れ作業で大抵何とかなります。
それで、今後何を使う?
という過去のプロジェクトをどうするかの話でしたが、では今後どうしましょうという己への問いかけです。
Final Cut Pro Xではなさそう
何も知らない頃は「移行ソフトを使ってFinal Cut Pro Xに行くしかないか」と考えていましたが移行できないことが判った以上、Appleのプロ切り捨て地獄にこれ以上付き合うのは出来れば避けたい。ていうかそもそもすでにFinal Cut Pro XてOS10.13以上でないとインストールできないとか言ってて自分とは関係ないものになってしまってますし。
もちろん万が一Final Cut Pro XがFinal Cut Proのプロジェクトを開けるようになればバージョンアップ感覚で嬉々として移行しますがその可能性は宇宙人に血を吸われるより低いと思います。
今でもFinal Cut Proで新規プロジェクト作っています。さすがにこれは避けたほうがいいですよね。でも他にいいのが見つけられなかったんですよ。ビデオ編集ソフトをどれにしようか、決められないままずっと来ました。
再びここで DaVinci
DaVinciの不出来は許容できないとか生意気なことを思っていましたが、真面目な使い方をしているとどんどん良く思えてきました。派手派手しいことはMotionでやればいいんで、ただ完成したクリップを並べて調整するだけと合点すればとても使いやすいです。UIが黒いのはもうどうにもならないので我慢するしかないんですが、さっきも書いたようにFCPの真の後継と言っても過言ではないと思います。FCPの後継としてはPremiere Proもすぐれものですがこの道で稼いでいる人専用のレンタルですしね。ただまあエフェクト好きだから派手な使い道を想定するとDaVinciではあまりにも地味すぎるかもしれないなあなんてまだ言ってますが・・・この続きは少し下に。
エフェクト系
Motion
さっきもちょっと触れたように、そもそも自分の使い方はビデオ編集というジャンルの作業がメインじゃなくて完全にエフェクトよりです。FCPが使いやすいものだからついつい過剰な加工をしてしまうわけですが、実際はMotionのほうが向いてるんです。
このあたりのビデオなんかはほとんどがMotion。FCPでは並べて僅かにエフェクト掛けただけです。FCPのエフェクターとの共通する部分も多いし、Motionにだってトラックにクリップを並べる機能ぐらいあります。FCPの後継としてMotionを位置づけるというのは十分に考慮の余地があります。
AfterEffects
Motionが登場する前はAfterEffects三昧でした。今でも古いAEプロジェクトのパーツが現役です。人生に後悔があるとすればAfterEffects CS6を買いそびれたことで、まあでもCS5.5がまだ動いています。
Adobeをディスったと言われている投稿(さようならAdobe)がよく読まれているんですが別にディスってるわけじゃありません。Adobeのアプリケーションは信用できます。Illustrator3.3の拡張子のないファイルを現在のバージョンでも開けますしAppleがポイ捨てしたpictファイルをPhotoshopで開くことも出来ます。「CCが発売されましたのでCS6は起動できなくします。CCとCS6は互換性がありません。CS6で作成したファイルを開くことも見ることも二度と出来ませんのであしからず」などということはやらかしません。これがプロ向けツールを提供している会社の常識的な態度だと思います。
Fusion
DaVinciにFusionという別枠のエフェクト特化機能が付いています。まだこれが何なのかよく分かっていませんが老舗の特殊効果ソフトを統合したということで、とても面白そうだなとは思っています。DaVinciは「メディア」「編集」「エフェクト」「カラー」と作業に応じて操作画面が明確に分けられており、だから編集画面では地味に編集に特化しているわけですね。エフェクトや効果はFusionが担当します。なんと、これってまさにFinal Cut Studioが実装していた連携機能そのものじゃありませんか。そういう点でもDaVinciの優位性があります。DaVinciについてはほんとに何も知らない状態ですが、今後のビデオ編集はDaVinciをメインに使うことになりそうです。
YouTubeのBlackmagicページでは丁寧なチュートリアルが多数用意されています。これはありがたい。
また余談
最後にしつこく余計なオマケの話しますが、過剰なエフェクトを許さない風潮がまだまだ根強いですね。エフェクターのかけ過ぎは素人臭いとかダイナミクスを削り取る不埒な行為とか手抜きとかとされています。ですが私はそんな意見をものともせず過剰なエフェクト肯定派ですし戦闘的実践派です。「さらば、愛の言葉よ」も熱烈支持してます。
あとがき
軽く書き始めたらめちゃ長い投稿になってしまいました。
XMLと他の編集ソフトの組み合わせについて全然わかっていないので間違ったこと書いてる可能性もあります。
FCPとFCPXの共通項いついても何やらバージョンによって大きく異なるそうで、もうデモ版も試せないので(前に一度試してもう試せない)理解しようがない部分ではあります。
DaVinci Resolveがかなり面白いです。知れば知るほどFinal Cut Proです。
FCPのユーザーにとってFCPXが向いているのかDaVinciが向いているのか。現状ではDaVinciが好感触です。XMLを介しての過去プロジェクトとの互換性ではFCPXに分があると感じています。
あの、もちろん編集とカラーグレーディングを行き来して大量の仕事を高速でこなす軽業師のようなプロ編集者とかの目線じゃありませんよ、ねんのため。
FCPプロジェクトの汎用化はまだどうすればいいのか決めかねています。このままではまたまた先送りの放置ということになりそうで、ファイルを何とかする前に人生を終えてしまいそうな予感。