仮想環境を作れるParallelsはMacでWindowsを起動できることも便利ですがそれよりなにより仮想Macを作れるのが強み。でもFinal Cut Proは動きません。
ということでタイトルとヘッドラインにすべて書いたので以下は読む必要ありません。以下は補足とエッセイです。
使い物になったエミュレーター
Parallelsなどのようなエミュレーターは昔はただのマニアの遊びでした。起動できること自体を目的化したり、チャレンジそのものを楽しんだりするものでした。ですがマニアの遊びは非常に重要で、遊びの蓄積こそが優れたプログラムを生み出す原動力です。
そんなわけでParallelsやVMみたいな仮想化ソフト、今では普通の人が普通に使用できるレベルで、これのおかげでWindowsも利用できてMac版がない弥生も機嫌よく使えています。
でも真に重要なのは仮想Macです。ParallelsではMacOSX10.5以降の仮想環境を作れます。
このおかげである程度の古いアプリケーションも動かせますし、謎のファイルの解明にも役立ちます。
謎のファイル
Apple製のソフトはポイポイ捨てられて互換性も何もありません。同じ名前のアプリケーションで作ったファイルでもバージョン違いで全く読めなくなるし、読めないどころか姿形すら変わってしまいます。
例えばみんな知ってるので言えばiMovieとかですね。古いiMovieで作ったファイルは今のOSでは認識できず、ファイルの形すらしていません。Keynoteも確かそう、Soundtrackもそうです。当時のパッケージ形式のファイルは今のMacが見たら謎ファイルが入ったフォルダにすぎません。何のことやら判らない状態です。
こういう謎フォルダもParallelsに仕込んだ旧Mac環境から覗くと、ちゃんとファイルの形になっていてそれが何なのかが判ります。
謎フォルダの他には謎ファイルも多数転がっています。もはや何のファイルか判らないUNIXファイルです。元々は何かのアプリケーションで作った書類ですが、Mac切り捨てヒストリーの中で置いてけぼりを食らった哀れな残骸です。
こうしたファイル、MacOSX10.6〜10.9あたりで見ると何割かは判別する場合があります。
謎ファイルが気になったときはわざわざ古いMacを引っ張り出して電源入れなくても、バックアップHDDを取り出して接続し旧環境で再起動しなくても、Parallelsの仮想Macを起ち上げて覗き込めばいいだけで、なかなか便利です。
旧アプリケーション
もちろんメインの使用目的である旧アプリケーションを使うという点で優秀です。Adobeの旧バージョン、Appleワークス、Mariner CalcにM-Diary、バージョンアップを放棄した使用頻度の低いグラフィックソフト、今では捨てられた古いソフト、それらのファイルの再利用や活躍の場は確保されます。仮想Macは長くコンピュータを使ってきた人間には必須アイテムですね。
しかしParallelsがいいところはここまでです。仮想Macがあれば全てへっちゃらさ、と思っていたこともありました。
使えないもの
いろいろと仮想Macでは使えないものがあるんです。使えるやつもあります。でも駄目なやつもあります。それは何か。やはりiMovieです。ムービー編集、音楽などハードウェアへのアクセスが必要なソフトは仮想環境では使えないという大きな弱点があるんですよ。起動もできないしインストールもできません。
仮想Macに最も期待を寄せていたFinal Cut Studioは壊滅、Final Cut ProもMotionもぜんぜん動きません。動いても良さそうなApertureすら駄目です。Appleのソフトはほんと融通効かないですね。融通というか、ただケチなだけですか?
Final Cut ProがParallelsで動かないことに関しては困っている人がたくさんいます。Parallelsのフォーラムでもたびたびこの件が話題になります。
Failure to recognize VRAM and Quartz Extreme(VRAMとQuartz Extremeの認識に失敗します)
Graphics card configuration(グラフィックスカードの設定)
FCP X Does Not Work in Virtual OS 10.8.2(FCP Xは仮想OS 10.8.2で動作しません)
Appleのフォーラムでも出てきます。
install FCPX on parallels(ParallelsへのFCPXをインストール)
iMovie HD and “Parallels Desktop”??(Movie HDとParallels Desktop?)
もちろんParallelsだけでなくVMwareでも同じです。
一見ぜんぜん関係ないですがオーディオインターフェイスのPreSonus AudioBoxも、OSを介さず直接音源を操作できることが売りのドライバがありましたがMacOSのバージョンアップで撃沈、売りの機能が使えなくなりそのまま萎んでしまいました。
つまりこれはParallelsやVMやPreSonusに問題があるのではなくてAppleが「そこは触らせないよ」とただ意地悪しているだけという、素人目にはそう見えます。
というわけで、iMovieやFinal Cut Studioの互換性を保ったりデータコンバートするには仮想環境では駄目で、実機を用意する以外にないということです。
前回、Final Cut Studioの各種プロジェクトファイルについての投稿であれこれ書きましたが、前回ではないか。まあ、書きましたが、これはそもそもは仮想Macで無理とわかってしまったから焦ってこういうことをやり始めたという話でした。このポストはそういう意味で↓この記事の補足というか、心情的理由を書いただけの雑文と言えます。
これをきっかけに、さらに古い環境の話に興味が繋がっていくわけでして、それでSheepSaverの話なんかになっていったわけですが、そのためポスト内容に被りも目立ちます。ご容赦ください。
このブログの筆者の特徴は一言でいうと「本末転倒」でありまして、そもそも目的があってファイルを開けようとしただけなのに気がつけばあらぬ方向にお熱であります。そして時間を失って仕事が滞り「しまった」と焦ります。今、焦ってます。
そうそう、そういえばParallelsってCorelに買収され傘下に入ったんですってね。Corelと言えばPainterとかも買って育ててますね。Parallelsなんか買ってどうすんだろ。Mac非対応のソフトを改良する手間を放棄して仮想Windowsで使ってね、みたいなことにしていくんでしょうかどうでしょうか。
まとめ
広告で稼いでいるブログでは書き方にテンプレートがあって、それは誰の役にも立たない当たり前のことをだらだら書いて最後に「まとめ」を書いてさらに「読んでいただきありがとうございました」と書くことだそうです。そうですか。じゃあ真似しますね。
まとめ
Parallels 14 ではFinal Cut Proは動きません
ありがとうございました。
追記。Parallels Desktop v15 でも動きません。
追記。Parallels Destop v16 で「動く」と公式サイトに書いてあります。本当かどうか、Aperture や iMovie や iDVD や Soundtrack Pro や DVD Studio Pro やLiveType も動くのか、OS縛りでインストールできないので試せていません。試した人教えてください。
… その後、v16を欺されて買いましたが動きませんでした。嘘書きやがった。