旧MacOSの、というかPowerPCのエミュレーター SheepShaver、開発を続ける有志がおられたのですね。最新バージョンは随分進化していて使えるレベルになっていました。
SheepShaver
MacOSX10.4を最後にIntel MacからClassic環境が失われましたがSheepShaverというエミュレーターが登場していて少し希望もありました。ただ当時のSheepShaverは難解な上に非力で互換も怪しく、ただエミュってみて喜ぶという程度の趣味的な出来映えにすぎませんでした。もちろんエミュって喜ぶ趣味的なことは素晴らしいことです。開発者たちが知恵と根性で練り上げますね、実用に遠くてもその前段階がいかに重要なことであるか想像はできるのです。
でも自分は実用したいので、夢と希望を抱きつつ実際に触ってみたSheepShaverは使い物になりませんでした。やがてこのソフトの話題は徐々に減り始め「開発終わったらしい」という悲しい噂も聞きました。当時がんばって構築したSheepShaverのPowerPC Macの環境でしたが、その後長らく放置することになりました。※
さて最近、年々互換性を失っていくMacに危機感を感じてちょっと古めのファイルの整理をしていて、どうしても古いファイルを開かねばならなくなりまして、例えばですね、昔作った「BaBaMoo」のプロジェクトフォルダとか、図面や壁画のデザインプロジェクトのフォルダとか、古くてまだ残っているのを漁ったりします。
フォルダの中には今でも開くことが出来るファイルに混じって、白紙アイコンや謎のUNIXアイコンもあって、当時は拡張子をつける習慣もないから全く何のファイルかわかりません。判ったところでどうということもないのでしょうが気になります。
こうした古いファイル、ある程度は10.6.8環境から見ると判明しますがもっと古いのもあります。判明すると開きたくもなります。何かとMac OS 9時代のアプリが必要になります。そしてもうひとつ大きな出来事がありました。
Mac標準フォーマットが10.12で認識できない
最近macOS 10.12に上げて「10.11とあまり違わない」とか軽く考えていましたが大きな切り捨てがひとつあったんですね。Mac標準フォーマットのサポート終了です。
Mac標準フォーマットは古い規格ですからあまり関係ないと思いきや、古いバックアップメディアや古いアプリケーションのインストーラーディスクなど、そこかしこに使われておりました。
きっかけはあるソフトの古いバージョンから必要な部品を引っ張ってこようとインストーラーCDをセットしたことでした。ハード的に認識はしているもののインストーラーCDはマウントされません。何をやってもFinderに登場せず、困り果てて検索して回り、Mac標準フォーマットが10.12から開くことが出来なくなったせいだと知ります。
こりゃえらいこっちゃ。そのレベルでいうとダンボール箱に入っている古いバックアップメディアとかめちゃ怪しい。このままだと全て開けなくなるぞと少しだけ焦ります。
いざとなればParallelsで構築した仮想Macが充実しているので何とかなると思いますが、古すぎるメディアは旧MacOS時代のものが多いし、手持ちの10.6.8環境ではすでに手遅れなものだってありました。
Mac OS 9 に連想が飛びます。古いインストーラCDを漁り始めて嫌な予感はありましたが、魂が旧環境保護を訴えかけ始めて止まりません。今はまだ起動できる PowerMac G4 MDDだっていつご臨終を迎えるかわかりませんし。
「そういえばSheepShaverなるものを使ってみたことあったな」と、今はもうないと信じ込んでいながらダメ元で検索してみると何とSheepShaverの開発は有志によって継続されていて、新しいバージョンもあるという。つい最近それを知りました。
という連想の連鎖の果てに、Parallelsで旧MacOSXを保護したように、Mac OS 9も今なら保護できるかもしれないと思い立った次第です。
最新SheepShaverのダウンロード
これを書いている2019年1月現在、2018年に公開された 2.5が最新です。公式のサイトは終わってる感がありますが別の方が開発を続けて公開されていて、それはここでした。早速ダウンロードします。
SheepShaver builds for Mac OS X, links and downloads
設定マニュアルも更新されています。 Setting up SheepShaver for OSX/macOS on Intel Macs
[追記]
と、思ったら2019年2月、バージョン2.5が公開されましたね。やる気満々、ありがとうございます!
SheepSaver 2.5の恩恵と今時の恩恵
設定がアプリ内の環境設定で完結できる
以前は難しかった設定もアプリ内の環境設定で完結するようになってます。まだちょっと癖ありますがとても良くなっています。
MacOSX側とコピペできる
なんと、このバージョンは仮想Macと本体との間でコピー&ペーストが出来るようになってます。こればイケる!これは使える!
いろいろ良くなってる
互換性や実際の使用に関しても以前より良くなっているようです。前は全然使えなかったアプリケーションが動いたりもしました。着実に改善していってるのは間違いないと思います。ただ万能じゃありません。起動した途端にストンと落ちるソフトもまだまだありますけど。
ストレージ容量
十数年前にはディスクイメージでHDDを再現する際にあまり大きなボリュームを作れませんでした。大容量化は進んでいたとはいえ、今とは雲泥の違いです。今って6TBが15000円以内で買えたりする時代なんですよ。びっくりしますね。アホノミクスの円安売国状態ですらその安さです。まともな経済状態だったらさらに半値ですね。世はSSDが主流になってきましたがHDDの大容量の魅力も尽きません。
2006年ごろ、SheepShaverを試してみたときに作ったディスクイメージは2GBとか4GBとか程度の小さなものでした。そのため、元のMac OS 9で使っていた全てのアプリケーションを復元することもできなかったんです。復元しようと思うレベルのエミュレーションが実現できなかったのもありますけど。
今の時代ならテストしながらばんばんボリューム作っても余裕です。この恩恵こそデカいんです。今だからこそあえてエミュレーターに手を出す意味というのはここにあります。
手持ちのMDDからまず小さなHDDに全て複製します。手持ちの小さなHDDでさえ1TBありますから余裕です(MDDにUSB2.0カード挿しといてよかったー)。これを現役Macに持ってきて通常使用のストレージにコピーして仮想ボリュームを作りますね。実際、4つも5つも同じようなイメージをテスト的に作って構築していきました。使い捨て100GBのボリュームでテストしながら作業出来るってすごい便利。
SheepSaverでMac OS 9 環境を整える
という感じで気分も新たに構築するSheepShaverのMac OS 9環境ですが、改善されたとは言えまだまだ難易度も高いです。いろいろ準備もありますし手順や設定にコツもあります。
作り方
で、作り方をここで書こうと思っていたんですがとても良い記事がすでにあります。自分の書くだらだらした文章はリファレンスにまったく向いていません。ハウツーが知りたい方はまずこの良サイトをご覧になるのがよろしいかと思います。
- SheepShaver〜準備編〜 : プラスα空間
- SheepShaver〜インストール編〜: プラスα空間
- SheepShaver〜Mac OS 9インストール編〜: プラスα空間
- SheepShaver〜運用編〜 : プラスα空間
この方のブログではSheepShaverにまつわるポストを一つのページにまとめておられまして、それがこれです。 SheepShaver再び: プラスα空間 (2013年7月12日)
という、パーフェクトな記事を紹介したのでハウツーは終わりです。
ちょっとしたコツやクセ、今後やっておきたいこと
SheepShaverを使うに当たっては設定のやり方とか使い方のコツとかいろいろあります。自分も忘れていたことが多く、ポイントを自分用にメモっといてもいいかなと思ってこのポストを下書きしておりましたがどうしましょう。自分の環境での話という、ケーススタディとして機能するかもしれませんから具体例の一つとして自分だけのことを書いていくのもありですよね。上記紹介したハウツーを踏まえて、内容ダブりますが都度気になったことなんかを少し書いていこうかと考えています。考えてるだけかもしれません。
というところでまたいつものように前置きが長すぎて本編に辿り着く前に一旦ここで力尽きました。肝心の中身は次回に持ち越しということで、またもや
つづく
著者です。ご紹介いただき、ありがとうございます。懐かしくなって、最新版をダウンロードして、起動して見ました。しっかり動作して、感動です!
これはこれは。コメントまでいただいてありがとうございます!めちゃ参考にさせていただきました。最高にわかりやすい記事でした。私も同じように2006年頃一度挫折していまして、それ以来だったのでバージョンアップの恩恵を受けまくりです。